シンプルな制作案件でも押さえるポイントがあります。
広告バナーをたくさん制作するという案件を例にします。
前提として、メディア展開プランや構成要素のFIXを代理店側で対応し、静止画やFlashを作成する、という案件を想定しています。
作業や品質の大部分はデザイナーの力量に掛かってしまいますが、ディレクターとして気にするポイントは以下です。
・納期を確認する
・要件を確認する
・素材を確認する
「納期を確認する」
代理店から依頼がある制作案件は、スケジュールが非常にタイトなことがあります。制作側の感覚では、早く伝えてくれればよいのに、、、と思うことがしばしばありますが、制作サイドに落ちてくる前に沢山の調整があったりで時間を要することが当たり前のようです。
メディア枠の購入が急遽決まることもあるため、バナー制作案件は、タイトなスケジュール前提で心構えをしていた方がよいと思います。
まず依頼された段階で、制作ボリュームとスケジュールを比較して対応可能かどうかの判断が必要です。
無理なスケジュールは断ることも選択肢ですが、納期を調整できる場合があります。
通常は、以下のようなやりとりです。
制作ベンダー ←→ 代理店 ←→ クライアント&メディア
代理店やクライアント側で納期までのスケジュールに余裕をもっている場合があります。
メディアの納期は、掲載期間との兼ね合いがあるため、調整できないことが普通なのですが、
代理店&クライアントとメディアのパワーバランスで調整して頂く事もあります。
制作側としては、提示されたスケジュールに調整の余地があるかどうか、まず確認した方がよいです。
「要件を確認する」
ここでの「要件」とは、制作内容そのものなので、シンプルなのですが、注意すべきポイントがあります。
まず、提示された構成要素や指示内容が確定内容なのか把握しておくことです。
何と代理店側の見切りで依頼がくることがあります。
明らかに指示が曖昧な場合は、すぐに分かりますが、指示内容から読み取れないこともあります。
イメージの認識あわせのためにも、確認ポイントがあり、
・バナーをクリックした際の遷移先ページのデザイン
・他のメディアとの連動キャンペーンの場合のトーン&マナー
・一番訴求したい要素は何か?
をヒアリングします。
代理店担当に矛盾があったり、考えがブレていたら要注意です。
作り込みをする前にラフで組んでみて、方針を確認した方が全体工数が低減できますし、修正負荷によるクリエーターのストレス度合いもおさえられます。
また大事なポイントは、広告のレギュレーションの確認です。
サイズ、容量、フォーマット、枠線の有無・色・幅、ブランドロゴ・商品名の掲載、文字の可読性など、媒体によって様々です。
Yahoo!の広告規定は公開されており、他の媒体のベースになっていることがあるので目を通しておくと、他の媒体にも応用できると思います。
改訂されることもあるので、最新版かどうか、レギュレーションの適用期間など確認した方がよいです。
特に、Flashバナーについては細かい規定があるので、制作前にクリエーターに理解してもらわないと制作できません。
Yahoo!の場合は、チェックツールが提供されているほか、実際にFlaファイルレベルでチェックされることもあるようです。
モバイルサイトのバナー制作は、容量との勝負になることが多いです。
MacとWindowsの計算違いによりNGとなったことがあります。Windowsのファイル容量を基準とした方が無難です。
バナーの構成要素がレギュレーションを満たしてないことがあるので、早めの確認が必要です。
「素材を確認する」
バナー制作で素材の確認は必須です。
代理店から提供されることが大前提ですが、細かくチェックしてないこともあるため、何となく揃っているような気分で制作を開始すると足りないことがあります。ほとんどの場合、制作期間がタイトなので慌てます。
画像は見てすぐ分かるのですが、フォントについては見逃すことがあります。
ロゴのように使われてる場合は同じフォントが必要ですし、ない場合はアウトライン化して提供してもらわないといけません。
似たフォントの代用でもOKな場合もあるため、文字要素の確認は必要です。
継続的にバナー制作案件を受注する場合は、事前に必要なフォントを確認した方が良いと思います。
以上のポイントを押さえたら、あとの作業は、クリエーターの力量に依存します。
制作会社のディレクターの好みで中途半端にディレクションすると、時間が足りなくなることが多いため、最低減の確認に留め、代理店からのフィードバックを待った方がよいと思っています。(これはディレクターの流儀で個人差があると思います)
代理店に提出する前に確認するポイントは、
・レギュレーションを守っているか
・構成要素に過不足はないか
・文字や画像の可読性は大丈夫か
です。
上記を満たしていれば、デザイン上、多少気になる箇所を見つけても、代理店に確認に出した方がよいです。
自分の主観かもしれないし、代理店やクライアントは別の意図があるのかもしれません。
どうしても気になる場合は、懸念点や迷った点を伝えた上で、判断を求めた方がスムーズに行くと思います。
ディレクターとして避けたいのは、何度も何度も修正を行って、クリエーターを疲弊させることです。
微妙な指示を繰り替えすと、クリエーターは考えることを止めて、指示通りに手を動かすだけになってしまいます。
最終段階の微調整は仕方ないですが、なるべくクリエーターが楽しく取り組める状況を保持することが大切と思います。